2015年02月08日

「アウディ・ノス」ツアレポ

今年1月、年明け早々の長崎市に行ってきました。
「アウディ・ノス」の舞台を巡る旅です。

昭和編を読み進める中で、改めて本編や番外編を読み返すと、以前とはまた違った風景が見えてくるようになりました。
正月に長崎の古くからのミラ友に会えることになり、どこに行きたいか聞かれ、迷わず「アウディ・ノス」と答えました。昭和編と本編のちょうど間にある物語で、すごく好きな話でもあり、一度その風景を見たいと思ったからです。

ツアーで見たもの、感じたものを拙いながらもまとめてみました。
良かったらご覧ください。
※2015年1月COMIC CITY大阪で配布したペーパーの再録+加筆になります。


直江が辿った道程

長崎空港
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唐人屋敷跡近くの柳瀬家
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大浦天主堂
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浦上天主堂
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西坂公園


2015年1月午前十時頃、年明けてすぐのJR長崎駅に到着。そこで長崎在住のミラ友さんが待っていてくれました。

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私は出身が九州なので、長崎市には何度か訪れたことがありました。

龍踊りで有名な「長崎くんち」を見に行ったこともありますし、市内の古いお寺をめぐったり、大浦天主堂に行ったり、中華街に行ったり。仕事で出張に来たこともありました。ただ、行ったのがミラージュに出会う前のことで記憶が曖昧だったり、仕事だったり、親と同行するのでなかなかミラスポには行けなかったり。
なので、ミラージュツアーとしては今回が初めての長崎でした。


二十四歳の直江が長崎に行った時には、飛行機を利用しており、長崎空港に着いたという記述があります。
長崎空港から、柳瀬家から近いとされる唐人屋敷跡までは、車で40分ほどかかります。空港からタクシーで行くには少し遠い距離なので(そのあたりは気にせずぽんと払ってそうでもありますが)、空港から長崎新地ターミナルあたりまでは高速バスに乗り、それから歩いて行った可能性もあるなと考えています。



■柳瀬家

まずは近くの駐車場に車を停めて、歩いて唐人屋敷跡へ。唐人屋敷跡は、江戸時代に長崎以外での貿易を禁止した際に、中国の人たちを収容する場所として作られたところです。現在は土神堂、福建会館、観音堂、天后堂の四堂のみが修復改築されて残っています。四堂以外は、細い道の両サイドにびっしり民家が建ち並んでいました。

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唐人屋敷跡の碑

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土神堂の門。異国の匂いがします

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門の中はこんな感じ。こじんまり

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天后堂。門の前に猫さんいるのわかりますか?

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別のお堂で出会った神様。湯呑みが「おじいちゃん」になっててウケました


ちなみに、長崎のおじさんは観光客にとってもなつっこい人が多いようです。ミラ友とお堂を見ていたら、何度か「どこから来しゃったと?」と近所の人に聞かれました。皆さん、ラフでフレンドリーで親切!

さて、最初の訪問先、柳瀬家があるという「館内町の山手側、坂を少しのぼったところ」に向かいます。

で、早速、原作を読んでいて難問にぶつかりました。「山手ってどっちだ」ということです。通常、山手というと土地が高くなっている所を指しますが、長崎は坂で有名な街。地形がぼこぼこしています。館内町に着い見回しても、土地が高くなっている方向は複数あります。もちろん地図に「こっちが山手」なんて書いてありません。

しかし、そこは地元出身のミラ友さん。この辺りに住む人が言う「山手」の方へ案内してくれました!(館内町から見て十人町の方向が山手だそうです)

後ろからくっついて行って道を歩くと、坂というか階段だらけ、さらに道がすごくせまくて軽自動車が本当にぎりぎり通れるくらい。実際に、向こうから車が来たので、よけようと思ったら道幅がなさすぎて、百パーセントよそ様の家の敷地内に待避しなければなりませんでした。地元の人らしき親子もそうやってよけていたので、この辺りの方は慣れっこなのでしょう。軽自動車を運転されていた方も道幅すれすれのところをすいすい、プロ!って感じでした。

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坂だけではなく、階段もたくさん

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緩やかに曲がった細い道に、階段、静かな町。絵になる風景がたくさんあって、歩いていてほっと息がつけるような、そんなところでした。


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唐人屋敷跡からすぐのお店で「笹クレープ」を購入。
笹の爽やかな香りが、意外にもクレープと相性抜群でした。



■大浦天主堂

唐人屋敷跡を出て、今度は大浦天主堂に向かいます。坂を下り「オランダ通り」を通って行きました。天主堂が近づくにしたがって、さっきまで中国色が強かったのに、どんどん街の雰囲気が「洋」になっていくのが面白かったです。

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オランダ通り


ほどなくして、大浦天主堂に着きました。観光バスもたくさん止まっており、緩やかにうねる坂を上がって行く途中にはお土産屋さんが立ち並び、とてもにぎやかです。かなり観光地化しているんだなと驚きました(寺や神社のちょっとした門前町みたいな感じでしょうか)。

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大浦天主堂の階段下

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階段を上り切ったところ。入口の白いマリア様の像がとても美しかったです

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そしてなぜかある、不思議な狸と兎のベンチw


階段を上り、堂内に足を踏み入れると、ステンドグラスの光がわっと目に飛び込んできました。外はあんなににぎやかだったのに、また、祭壇では自動音声で天主堂に関する説明も流れているのに、不思議とうるさくなくて、心地よい空間でした。
(※堂内は撮影禁止でした)

正面の祭壇の近くまで寄り、キリストの像のステンドグラスに圧倒され、次にその右手にあるマリア像の前に立ちました。

事前に写真で見た時には、色がきつい印象でしたが、実際はかなり印象が違いました。さまざまな色が使われていながら優しい色合いで、私はキリスト教の信仰心はないけれど、なぜかずっと見ていたくなるような、そんな像でした。この像の前で直江が思いを馳せていたのだと思うと、余計に心に深く感じるものがありました。

さて、大浦天主堂を後にしようとした直江を追いかけてきて、階段の下から呼びかけてきたのは、柳瀬家の孫娘・里穂でした。

ここで里穂が「スクーターで追っかけてきたんです」と言います。何気ない台詞なので、あまり深く考えていなかったのですが、突然はっ!と思いいたりました。館内町の家々にスクーターがそれぞれ何台も止めてあったことに!

道が狭く、急な坂が多い長崎では、住む地域によって自転車がほとんど使えなかったり、大きな車で通るのが難しかったりするので、スクーターや小型の車が多い区域があります(地域によっては自転車を普通に乗るところもあるそうです)。
館内町がまさしくそうでした。だから里穂がスクーターで駆けつけてくるというのは、すごくリアルなんです。

なんて細かい!先生すごい!と興奮してしまいました。



■浦上天主堂

次の目的地は浦上天主堂です。大浦天主堂から車に乗り、長崎駅をはさんで反対側へ向かいます。近くに適当な駐車場が少なく、やや離れたところに車を停めて歩きました。

最初に見えたのは、小さな川の傍にあるレンガ造りの何かと木が半分土に埋もれたようなものでした。
かなりの大きさです。なんだろうと思って見てみると、傍にあった看板に原爆によって吹き飛ばされた、旧天主堂の鐘楼の一部と書かれていました。当時のまま、遺しているものだとミラ友さんが教えてくれました。

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人が何人かかっても持ち上げられないだろう大きさ、しかも天主堂からそれなりに距離はあります。原爆がどれほどの破壊力を持っていたのか、天主堂の左側、静かに、しかし表現しがたい重みがそこにあるのを感じました。

通りから向かうと、大きなUの字を描くように急な坂が伸び、その上がりきったところに浦上天主堂は建っています。

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坂を見上げたところ

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坂を上がり切ったところで、見下ろしたところ


天主堂にたどり着く少し手前の所に、本文の中にも記述がある被爆した天使の像が並んでいました。
頭部がないもの、体や頭の一部が欠損しているもの、そして熱線に焼かれ、黒く色を変えていました。

焼けただれた天使達の目線の向こう、振り返ると長崎の街が見えました。夏のあの日から今日までの七十年間、この街を見下ろしてきた。彼らは何も言わないけれど、もの言わぬ彼らに残る傷みを前に私はただ何も言葉が浮かばず、突っ立っていることしかできませんでした。

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浦上天主堂は原爆で全壊し、現在建っているものは立て替えられたもので、昭和34年に完成し、昭和55年に改修工事が行われたため、新しくきれい、という印象です。
一応、元の天主堂に模して再建されたらしいのですが、近くの看板にあった旧天主堂の外観写真を見ると、現在のものと見比べて以前の建物の方がかなり手の込んだ造りであったことが伺えます。

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浦上天主堂(※堂内は撮影禁止でした)


同じ天主堂でも、大浦と浦上で全くその場の空気が違うと入る前から既に感じました。
大浦のように観光地化しておらず、周りに店はほとんどありません。そして中に入ると堂内の後ろ部分しか、一般の観光客は入る事ができませんでした(信者の方は入れるそうです)。行事が行われている時には、中に入る事もできないと聞いたの で、入れたのはラッキーだったと思います。

天主堂の中、後方から、広い堂内を見回しました。
係の人が2人いる以外は、信者の方はいらっしゃらず、がらんとしてうす暗く、窓から光が差し込んでいました。
観光に訪れる人だれもが声を発しないせいか、音楽がないせいか、理由は自分でもよく分からないのですが、漠然と「祈りが強く生きている場なんだ」と、そんな感じがしました。

大浦でも信仰は感じましたが、浦上では、厚みというか重みというか密度というか、とにかく何かが圧倒的に違う。
ミラ友さんが浦上天主堂を訪れる前に「マリア観音が大浦ではなく、浦上で昇華した理由がわかる気がする」と言っていたのですが、浦上天主堂に入って、その言葉が腑に落ちました。



■西坂公園

最後に訪れたのは、西坂公園。二十六殉教地です。西坂公園の駐車場に車を停め、上がろうとすると白い幕が。なんと公園の整備中ということでかなりの部分が入れないようになっていました(一月末には工事は完了するようです)。

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西坂公園の入口

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二十六殉教地のレリーフ


時刻は15時半頃。冬なので既に少しずつ西日が差していました。実際、直江が長崎を訪れたのは夏で蜩が鳴く頃、赤い夕日の記述もあるので、17時半〜19時くらいではないかと思います(九州の夏の日の入りは、遅いときで19時半くらい)。

公園の少し高くなったところから見ると、海が建物の隙間から見えました。ミラ友さん曰く「いつのまにかマ
ンションが建ってる!? 橋も出来たし、見づらくなちゃった」とのこと。以前は西坂公園の端、ベンチがある辺りから、長崎の海がよく見えたそうです。

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「アウディ・ノス」の初出が1994年。今からもう20年も前です。景色が刻々と変わっていくのは当たり前のことですが、やっぱりちょっと寂しいなと思ってしまいました。

直江が臨んだ稲佐山も見えました(NHKの建物に隠れがちですが)。
「――あなたのそばにいく……」と景虎に語りかけた直江。このときの直江が思い描いていた景虎の姿は、どの肉体のときのものだったのでしょう。推論にすぎませんが、大浦天主堂のマリア像を見て、景虎と美奈子をイメージしていることから、おそらく昭和編に登場する加瀬賢三の姿だった可能性が一番高いような気がしています。

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公園から稲佐山を臨む

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公園に建つ碑


昭和編を経たことで、初めて「アウディ・ノス」を読んだ時とはまた違うイメージが湧いてくるようになりました。
もちろん最終巻を経て、自分も年を重ねていった結果でもあると思います。
その地に訪れなければ、分からなかった、実感できなかっただろうことがいくつもありました。また、小説の時期に合わせて夏に訪れたいと思います。夏の長崎は、また違う発見があるにちがいありません。

最後に、年明けの寒い中、車を出していただき、素晴らしい道案内をしてくださった二人のミラ友さんに、敬意と感謝を申し上げます。


おまけ

長崎は猫が多い街。
たくさんの猫さんたちに出会いました(猫もフレンドリー)

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館内町にて。け、気高い!

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唐人屋敷跡のお堂で会った猫さん(お堂の中にも普通に猫が出入りする)

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浦上天主堂の近くで会った猫さん

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サービス旺盛すぎます

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西坂公園で出会った猫さん集団

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こちらも西坂公園で
posted by アヤ at 01:59| ツアレポ

2015年02月07日

ミラステ レポート

2014年9月に行われた舞台版「炎の蜃気楼 夜啼鳥ブルース」の観劇レポートをアップします。
このレポは、10月のSPARKの際に配布したもので、その再録+加筆になります。

もうすぐDVDが発売ですね。楽しみです!

この記事は舞台版「炎の蜃気楼 昭和編」の観劇レポートです。ネタばれにご注意ください

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2014年9月に行われた「炎の蜃気楼 昭和編 舞台版」の感想、レポートになります。興奮しすぎて記憶があいまいなところもあるので、順番とか台詞とか違うところも多いと思います。そのあたり差し引いてお読みいただければ幸いです。


「炎の蜃気楼」本編完結から10年。まさか舞台版を見られるとは思っていませんでした。
ものすごく正直な話、本編が完結して少しずつ確実に人が減っていくのを見てきていたので、昭和編の開始と同様に、原作で動きがあるというだけで本当にありがたい気持ちでした(ミラージュを読みたい、感じたいという欲求と同じくらい、私にとってはミラージュで人と繋がっていることが重要なので)。

なので、すごく乱暴な言い方ですが、芝居の出来がどうかは気にしていませんでした。
もちろん、いいに越したことはないですが、やっていただけるだけありがたい。
ミラージュの世界観というか、「換生」という概念をどうやって説明するんだろう、難しいだろうな、ということは思っていましたが、単純に楽しみでした。

なので、舞台版で自分にわっと襲いかかってきた感動は、想定外という他ありません。
私が見たのは、9月22日夜と23日の2回。初日の幕が上がって以降、多くの方がご存じのとおり大反響でTwitterでもその熱を感じていました。

冒頭からびっくりするよ、という前情報があり、カッコいい演出とかかな?と思っていたら、まさかの邂逅編からのスタート。景虎様の切腹のシーンでの無念、初めての換生のとまどいがガツンと来ました。

冒頭シーンの締めは、直江の「景虎様、とお呼びいたしまする」。ゆっくりとはっきりと、しかし感情はこもっていない直江の言葉、そして目をつむり空を仰ぐ景虎様。「ああ、ここから彼らの戦いの物語が始まったのだ」と改めて夜叉衆の運命の重さを感じました。

暗転し、プロジェクションマッピングに浮かぶ「炎の蜃気楼」。キャラクターの名前とともに役者さんが昭和編の衣装で登場されるシーンは、各キャラクターの特徴がわかりやすく、しかもそれぞれのポーズが超かっこいい。

中でも、ぐっときたのがプロジェクションマッピングで換生以降、昭和までの元号が次々に表示されるところ。400年、とミラージュの中で繰り返し出てくる歳月で私も理解していたつもりだったのですが、改めてこんなに長い間、さまざまな時代の中で夜叉衆は生きてきたのだという重さがずっしりきて、もう涙が出そうに…(早)。

舞台の本編が始まってからの分は、以下、登場人物ごとにまとめました。


加瀬賢三
一言で表すなら、色気。レガ―ロのシーンで尚紀と二人きりになると、すっと眼鏡を外す加瀬さん。眼鏡を外しただけなのに、まとう雰囲気がいきなりあやうげな感じになって、ぞわわわわってしました。煙草を持つ手もエロス。やばい。アクションシーンも見ごたえあり、靖国神社のシーンで満身創痍の加瀬さんが力を振り絞って戦う姿に手に汗を握りました(実際に、私が見たのが最後の2回だったので、富田さん自身も相当ボロボロになっておられたのではないかと)。大人の余裕、その中に見え隠れする揺らぎを見て、高耶さんとは確実に違う“加瀬さん”を肌で感じました。あと、朽木への応対などを見て、やっぱり男の人にもてるな、そりゃそうだなって思いました(女も惚れるけども!)。

笠原尚紀
直江、なのに若い。昭和編原作でも感じる不思議なアンバランスさが荒牧さん演じる直江からも感じました。20歳をいくつか過ぎたばかりにしては大人びた仕草、酒の飲み方、しかしどこかやはり若者。美奈子の前で声を上げて笑うシーンはどきりとしました。そのときは何で驚いたのか分からなかったけれど、多分、原作 本編の橘義明がそうやって笑うイメージがなかったからなのではと。義明ではない、尚紀ということはこういうことなのだなと思いました。で、例の壁ドンシーンはどうなるのかと思っていたら、ある意味壁ドンより激しい椅子ドン。直江の激情にどきどきしました。

小杉マリー
マリーさんはもう登場から、ぎゃあああかわいいいいい!ってなってましたが、ほんっとに可愛すぎてもだえました。ヒールを脱ぎながら「どいてなさい、しんちゃん!」ってやるシーンがカッコ可愛くてすごい好きです。そしてその後のストッキングの下り。付き合ってないのに長年付き合っている風の加瀬さんとマリーちゃんのやりとりが原作でもすごく好きだったので、脚本に入れてくださって本当にありがとうございましたああああ!と心の中で叫んでいました。あと「私はしんちゃんといると楽しいんだよ!」のシーン。朽木じゃなくても、落ちる。落ちた(私が)。晴家の女子力の高さに完全にやられました。

佐々木由紀雄
色部さん、背が高い!! 2巻のイラストそのまんま過ぎでした。加瀬さんに「煙草は辞めたんだろうな」とにじりよるのがカッコいい。そして言われて静かに目を逸らす加瀬さん…。手洗い行って戻ってきて景虎様&直 江がふっと離れるのを見ての「そうかい、そうかい」がもう包容力。色部さんというと年嵩のイメージがあったので、こういう若い色部さんて新鮮でした。

坂口靖雄
勢い良くお辞儀しすぎて帽子が飛ぶとかテンプレすぎるのに、それがすっごい合ってる! 鱗を持ってレガ―ロへ行き、マリーさんに楽屋へ連れて行かれるときに、あたふたして「ぎゃあああ! 笠原先輩!」 って叫んでんのがかわゆくて、客席から笑い声が。なごむ。しかし彼は眼鏡外すとかなりの美青年と見ました。坂口愛が増しました!

執行社長
おじさん好きにはたまらん、もともと好きなキャラクターだったのですが、加瀬さんや朽木とのやりとりの中ににじみ出る包容力。そして原作になかったなぜかマティーニ押し設定や女のところへ行くときの「港」発言に、一気フォーリンラブ。舞台の次回作はぜひ2巻を! そしたら社長がいっぱい出てくる!

朽木慎二
技術的なことを言うと、セリフ回しがとてもきれいな役者さんだなと思いました。加瀬さんを慕っている感じとかもよかったけど、マリーちゃんが絡んだときの面白さ&可愛さといったら! さらに、加瀬&マリーのやりとりを見ての「見てねえよ!」がね、指先でつきつきしたくなる、構いたくなるキャラでした。


千秋楽、私は幸運にも最前列中央の席で観ることができました。実は最前列というのは少し不安があって。というのは、舞台用の芝居というのは広い空間で観た時にちょうどよくなるタイプのものなので、 近くで観ると荒が見えてきてしまうことが多く、ちょっと離れて見るくらいがいいなと実は思っていたのです。

ところが、始まってみるとそんな考えは吹き飛びました。一番近いときには役者さんまでの距離2mもないくらい、そんな距離なのに本当に演技が繊細で。表情一つ一つもすごくリアルでした。

レガ―ロのシーンで、メインでしゃべる人以外は、脇でしゃべっている風なのは手ぶり身ぶりだけだと思っていたのですが、実際は小声でしゃべっていました。はっきりは聞こえないのですが、ところどころ聞きとれた感じからすると、ちゃんとそのシーンにあったもの。脚本かアドリブかはわかりませんが、2列目でもう聞こえないかもしれない部分まで気を配られている、とうところに驚きました。

また、レガ―ロにいる朽木にかつての戦友が訪ねてくるシーン。男がバタリと倒れる時にも、役者さんが白目をぐるりと剥いてから倒れたり、倒れたあとの苦悶の表情もリアルで。演出の素晴らしさ、役者さんの演技力に本当に感動しまし た。テレビ画面でもっともっと近づいてよく観たい!とさえ思いました。


2時間ノンストップの舞台、怒号のような展開に一瞬たりとも目が離せず、気づいたら終わっていました。幕が下りて、役者さんが挨拶にもう一度出てきたときも、もはや原作のキャラクターと役者さんを同一視するくらい見た目のシンクロ率が高く、リアリティがあったので、どこまでが現実で非現実かがあいまいになる、そんな感じがしました。

千秋楽、舞台あいさつで富田さんが自身の声の状態が悪かったことについて述べられました。台詞量が多く、難易度の高い役で、まして座長である舞台で、ベストコンディションでなかったことにどれほど悔しい想いをされたことだろうと思います。私も初めて見た時に、あれ?と思いましたが、でも、そんなことが全く気にならなかったのは、全身全霊で上杉景虎、加瀬賢三を演じておられたからだと思いました。涙の膜で、瞳がきらきら輝いていたのが印象的でした。

そして千秋楽は桑原先生のお誕生日。何かあるかなと思っていましたが、みんなでハッピーバースデー を歌えたのが嬉しかったです。先生に直接、しかもたくさんの人とお祝いをする機会ってそうそうないので、貴重な体験をさせていただきました。

そしてそして、なんといってもオールスタンディングオべ―ション

私も10年ほど前までは幼少時から1〜2カ月に1回は芝居を見に行っていたりしていたのですが、バレエ、オペラなど西洋系で元々スタオべの習慣があるものは別にして、現代劇でスタオべは、私はおそらく初めての経験でした。スタオべはお客さんのたった一人の満足では成立しない奇跡、まして派手な感情表現が苦手な日本で、さらに現代劇で、それが起こったというのはすごいことだと思います。

さらにそこで終わらないのがミラジェンヌ。ふと気づくと前方の列の皆さんが後ろの方が見えるようにとしゃがんでいらっしゃるではありませんか! 私も慌ててしゃがみ、最前列だったのでほぼ正座に。後方列に気を使ったスタオべって、なんかおもしろいと思っていたら、舞台の上で役者さんも慌て&笑い。「え、え、立ってください」と動揺する富田さんの横で、マリー役の佃井さ んと荒牧さんがめっちゃ笑顔!

そしてその隙に「景虎様に平伏するチャンス!」とか言って平伏していた私のサイドの友人たち(笑)どんな状況下でもチャンスを無駄にしない先輩ミラジェンヌである友人たちを見て、私もミラジェンヌとしてまだまだだなあと猛省。会場内の皆さんの笑顔と万感の思いを込めた拍手で幕が下りました。


今回の舞台では、役者さんはもちろんのこと、原作を生かした上で舞台ならではの魅力を加味した脚本(是非、脚本もグッズで販売していただきたいと強く希望)、舞台装置、ライティング、衣裳、音楽(特にオープニングの音楽がカッコよかった! サントラがほしい)、細かいところまで気を配られた演出などなど、本当にすごい!!の一言につきました。

再演はもちろん次回作を本当に本当に願っています。まずは来年2月に届く予定のDVDを楽しみに!!!(Twitterとからめて同時再生会とかやりたいなと妄想中です)ここまでとレポートを読んでいただき、ありがとうございました!
posted by アヤ at 00:00| 雑記
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