2018年09月02日

環結記念 桑原水菜先生トークイベント

2018年9月2日開催
『炎の蜃気楼 昭和編』シリーズ&舞台『散華行ブルース』
―環結記念 桑原水菜先生トークイベント―
@アニメイト渋谷店


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【御注意】
・私の記憶違いのところも絶対あるので、薄眼で見てやってください。
・実際は、時間的に離れたところで出てきた話を、内容が似ていたため、まとめてしまったところがあります。
・話題は順不同です。
・間違いに気づいた場合、後日加筆修正します。


13:15前
アンケート用紙が配られる。
@ミラージュを読み始めた歳ときっかけ A舞台「散華行ブルース」の感想 B先生へのメッセージと質問を書く欄があり、並びながら記入する。

トークイベントのチケットを購入された方で、アニメイトの会員証を提示された方は、個人情報がわかっているので、事前に郵送されていたようです(私は会員証を持っておらず、チケット購入の際に特に個人情報求められなかったので、特になにもなし)

座席の抽選が始まり、座席番号が書かれたくじを引き、冷えたミルクティーの缶を渡される。
そのまま会場へ向かう途中、今度は焼き菓子を頂く(チョコかチーズを選ぶ)。

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イベントのスペースは、年末にサイン会を行ったペース。
そこにぎっちり並んだ椅子の数、30席。
渋谷店での抽選で当たった人が20人だったのは、数えて知っていたので、そうなると秋葉原の当選者は10人ということに。

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本来、座席抽選が始まる時間に、既に全員着席。
お手紙や差し入れについては、イベント始まる前にスタッフさんにお預けする。
アニメイトの方から、録音・録画をご遠慮いただきたい旨や、携帯電話の電源を切るか、音の出ない設定にしてくださいというお願いがある。

イベント開始まで30分以上時間があったので、各々、トイレに行ったり、写真撮影したりして過ごす(写真撮影は、イベント開始前と終了後であれば撮ってよい、ということが言われた)

開始までの間、スタッフの方と少し話をして、渋谷店としてはサイン会などはあるけれど、トークショーを開催することはほとんどなかったとのこと。今回のイベントは渋谷店としても挑戦だった。
ミルクティーの缶やお菓子は、リラックスして過ごしていただきたい、ということで先生と一緒のものをご用意させていただいたとのこと(話の文脈からすると、用意したのはお店側ということなのかな?)。


14時の数分前
再度、注意事項の案内があり、先生とコバルトの手賀編集長が下手より入場。

先生が向かって右(上手)、編集長が左(下手)に着席。

アニメイトの方の司会で、先生と編集長が自己紹介。
まずは先生から。
「原作者の…」と言いかけて、「作者の桑原水菜です」と言い直してご挨拶される。
ミラステの期間中は「原作者」でいらして、まだ千秋楽から時間が経ってないので、混乱されたご様子。

続いて、編集長から自己紹介がある。

この後は基本的に、編集長がモデレーター(相手役)となってトークが進む。

14時
トークイベント開始。
冒頭で、編集長からネタばれの関係で本編40巻のラストまで読んでない人やミラステを見てない人がいるか聞かれる。その場で挙手はなし(結局、イベント中に40巻のラストに関わる話は出なかった)

前半はミラステの話。

●最後の舞台が終わったことについて
まだぼーっとしている。言葉がまとまらない。仕事はもちろんしてて書いてるけれど。まだしばらく時間はかかる。10年くらい?と笑顔。

●初演「夜啼鳥ブルース」を振り返って
(編集長から、途中でゲネって初演当日の昼間にやることが多くて、その後、夕方、18時半とかそういう時間に始まることが多いという注釈が入る)

初演のとき、ゲネを見た後、担当Iさんと初日始まるまでの二時間、ファミレスみたいなところで話した。私たちは受け入れたけど、ファンの人たちがこれを受け入れられるか。そう考えるとすごく緊張した。緊張しすぎで、Iさんとしゃべってるんだけど、上滑りして会話が成立していなかった。役者さんやスタッフの皆さんはもちろんもっと緊張したと思う。でも彼らは準備とかいろいろある。私は何にもすることがなくて。あの時間は地獄だった。

(編集長から、初日、冒頭の初生景虎のシーンで、客席からすすり泣き声が聞こえてきたという話が出る)

二作目以降は、ゲネでこれくらいだから、本番ではこのくらいまでいくだろう、という目測が立つようになってきた。
だから第一作の時が一番緊張した。

●稽古を見て、役者の皆さんたちについて
音楽もない、衣装を着ていない、トレーナー?ジャージ?の姿なので、逆に生々しく感じるかも。
素のままの姿なのに、その役に見えてくるこのすごい。

(編集長から本番の直前まで、セリフ削ったり演出変えたり、どんどん変わっていく(出来上がっていく?)のが見えるというのを、見ていてどうですか?と言われて)
皆さん、表にはいい面しかおっしゃらないけど、実際はかなり泥臭い。主張と主張のぶつかり合いもある。居酒屋でも演劇の話以外はしないというくらい。本当に没頭している。

●役者さんのキャラクターへの理解について
(編集長から「下手すると先生よりキャラクターのことを深く考えているのでは?」と言われて)
それは認めたくない。書いている自分が一番理解していると思っている(笑)。一方で、そのキャラクターを生きてる人、そのキャラクターだけを見ている人の視点から「これってこういうことですか?」と聞かれて、ああそうかと、気づかされたことはある。

●舞台を経て、印象が変わった役
ハンドウさん(笑)
基本的に変わった人はいない。
私の印象にぴたりと寄せてきてくださったので。
挿絵になかった東雲次郎は、こういう感じだったんだ、とか。鉄二はこんなに可愛いんだと思った。

●舞台が先生の創作に影響与えたこと
キャラクターの肉付け。
普段は見て書かないんだけど、役者さんたちのブロマイド、せっかくあるから、見た目の描写とかは見ながら細かく書いた。

●マサについて
(役者さんが通称)「みやびさん」と呼ばれている方で、名前を付けてほしいと言われ、マサに。居酒屋で決まった。
マサとナッツによって、夜叉衆フィナーレ(「散華行ブルース」の赤い特典小冊子)でも登場するが、本編の最初ではなく、本編の最後に繋がる、また別の環結ができた。
あの二人は、景虎でも高耶でもない、加瀬を記憶している。加瀬が生きていたこと(いたこと?)覚えている、あの二人は加瀬からもらった贈りものを自分の人生に生かしている。そしてマサは加瀬がなりたかったバーテンの道へと進んだ。ナッツだけではだめだった。マサとナッツの二人が必要だった。

●美奈虎様について
景虎の美奈子に換生した後のシーン。美奈虎様バージョンを衣装付き通し稽古の時に見た(本番では富田さんがやった部分を、稽古の時は、演出を模索するため、小野川さんが演じたことがあった)。
見た感想の一番は「かわいい〜!」「加瀬さんこんなにかわいくなっちゃんたんだ」だった。
直江は二つの意味でショックだったと思う。一つは美奈子に換生させてしまったこと、もう一つはその可愛さ。この景虎様見たら思わずプロポーズしちゃうかも。そしたら話変わっちゃう…。
もちろんそれが、本番は富田さんが演じることになった理由じゃないですけど。
欅坂のような可愛さだった。

●高坂について
昭和編ではめちゃくしゃ動いていた高坂。本編の高坂はそれほど動いていない件について。
宿体が変わると動きにくいこともある。
加瀬も美奈子の体では戦いづらかった思う。美奈子って意外と体力あったんだな、この子、鍛えてたんだなと思った。


後半戦は、原作である小説の話へ。

と、ここでみんなが真剣に聞き入って、配られたミルクティーに手を付けないので、皆さん飲んでください、とお声掛けが。
「私が開ければいいのか」と先生も缶を開けられる。
おもむろに全員で乾杯。ミルクティーだけど。

●2017年12月末に小説が環結した後、どう過ごされていたか
3カ月ぐらいお休みもらった。旅行にもいきたかったけど、力が残ってなくて。家の近くでできることないかと思って、近所のジムに入ったら、ボクシングができる環境があって。やってみたらはまった。今なら朽木のイーグル朽木時代のボクシングシーン書ける。

(編集長から「先生、どこ目指しているんですか?闘う作家?格闘家デビュー?」という突っ込み)

体重は6キロ、体脂肪率5%減った。
ほんとは沖縄行きたかった。

(編集長から「ちょこちょこは行かれていましたよね?」という問いかけに)

仕事がらみの取材とかでちょこちょこは。
米沢に行ったのは舞台の成功祈願で上杉神社へ行って、お払いとお札をもらってくるためだった。毎年行っている(ミラステの舞台のために行かれているかどうかは不明)。

●6月のミラステの撮影に一部同行された件について
新潟に行ったのは、2004年の本編完結の際に行って以来……あ、違う行きました。バスツアーでもあのときは上れなかったので。
だからちゃんとあそこに行ったのは14年ぶり。始まりの場所である鮫ケ尾城に立って、そこで初めてようやく(炎の蜃気楼が)終わったんだなと実感した。

新潟もそうだったけど、どこに行っても地元の方が優しい。親切にしてくださる。
それはファンの皆さんが、地元の方とよい交流をされているからだと思う。
地元の方がミラージュのファンの人たち、いいなと思うと、それがそのファンの人たちが好きなミラージュもいいものなんだって思ってくださってるんだと思う。ファンの皆さんのおかげ。

●信長が本編でロック歌手になることについて
朽木(信長)がマリーとのことがあって、本編でロック歌手になるって思うときゅんとくる。
SEEVAのライブの最後に、毎回マリーを思って、You are my destinyを歌っているかもしれない。

●邂逅編、幕末編、昭和編、本編と書きあげる中で、変わっていった登場人物
全編を通して一番変わったのは色部さん。

本編ではあまり描かれなかった。
死に対して何もできなかった人が、医者という職業につくことで、生死に関わるようになった。
「がめ医者」での神崎とのやりとりにしろ、それを書けたのは良かった。

●飲み会で愚痴を聞きたい人
色部さん。
「散華行ブルース」の終わった後の時期の色部さん。阿蘇どうだった?とか。

編集長「でも、色部さんは愚痴、言わなそうじゃないですか?」
先生「べろんべろんに酔わせれば」
編集長「笠原(尚紀)さんは?」
先生「いや、いいです(笑)」

●一番苦労したエピソード
最後の3巻、紅蓮坂ブルース、涅槃月ブルース、散華行ブルースが苦しかった(手元にある本を手に取りながら)。
直江のあのシーン、なんで書いちゃったんだろうと思った。涅槃月であのシーンを書いて、肩に背負っていた重荷の3分の2くらいはおりた。
20代の自分から与えらえた試練だった。
今だったら、こういうシーン(ストーリー?)をここまで書ききれないかもしれない。だから、涅槃月であのシーンを書くことで成長できた。20代の自分に感謝したい。

●女性キャラクターとしての美奈子について
(編集長から「本編では美奈子のように、女性で初生人でここまで物語に深くかかわるキャラクターはいなかったと思う。晴家ももともとは男だったし」という問いかけに対して)
美奈子の女性性によって、あの二人の男性性が際立つことになった。
やっぱり男なんだなって。

●その他の創作秘話

キャラクターの中にも、話すキャラクターと話さないキャラクターがいる。
加瀬は圧倒的に話さない。
高耶は独白とかあって、すらすら書けたけれど、加瀬はそれさえもない。
加瀬はまったく進まなくて大変だった。

本編で「聖母」という漠然としたイメージである美奈子を、昭和編で本編との整合性をとりつつ、どうやって生きている人として描くかが課題だった。
本編でああいうポジションで、嫌われてもいたから。
編集長が「昭和編の最後では、彼女を嫌う人はもういなかったのでは?」と皆さんに問いかけ、頷く参加者。

昭和編と本編との整合性の点では、ずっと本編を見ながら突き合わせて、書きそびれたものはないな?と確認しながら書いていた。

朝四時半とかに責了して、そのまま二時間くらい電話で担当のIさんとミラージュの話をしたりしてた。Iさんがずっと同じ熱さでいてくれた。


質問のターン。
これまでの話のなかでも、おそらく事前に回収したアンケートで書いた質問を組み込んでくださっていたようだが、改めてこの場で聞きたいことがあれば、と編集長から皆さんへ問いかけが。一部、事前のアンケートからの質問も取り上げられた。

●景虎と直江は、昭和編より前に、互いに持っている恋情を自覚していたのか?
他の誰かにそれは「恋情だ」と言われれば自覚したかもしれない。
二人は恋情は持ってたかもしれないけど、互いにそう思っちゃいけないと思っていたと思う。

●高坂と夜叉衆との出会いはいつから?
実は邂逅編で書きそびれた。それが心残りで、残念。
景虎が子供、六郎太になったあたりで関わらせるつもりだった。
それまでは(初生の高坂自身が)存命だったはずだから。
書く前に邂逅編終わっちゃった。

●ジェイムス・D・ハンドウのDは何の略?
先生、特に決めていなかったご様子。
(編集長が「ハンドウ」は日本名ですよね?二世とか。ミドルネームで、クリスチャンネームの可能性も、と)
先生、だいすけ?だいごろう?「他、何があります?」と皆さんへ問いかけされる。
参加者から、ダニエル、デイビットなどが出て、最終的にはデイビットに決定。

●夜叉衆の活動資金はどうしているのか?
織田は会社ちゃんとやってる。
(編集長が「織田は信長の覚醒後、急成長して政界に関わるまでになりましたね」と)
給料がちゃんとあるのって色部さんだけ。
宮路もカリスマ的なカメラマンだったら、稼ぐかもしれないけど…。
そうすると軒猿?
軒猿の皆さん優秀だから。商社とかやってるかもしれない。株とか。八海とかが。

先生、極めつけに「……ヒモ?」と、ぼそっと(笑)

本編のほうは、高校生と大学生と…本編のほうがやばい。
でもバブル期だったから、そこで一気に稼いだのかも。

カリスマ性といいつつ、加瀬さんが一番稼げない。
(能力云々というより?)表に出ちゃいけないという思いが強くあるから。

●本編で、直江が景虎と再会したとき、どうして石を投げたのか
石ぶつけたのは、本当に景虎が覚えてないのかなって試す意味で投げつけた(投げる仕草付)
先生「え?他の解釈あります?」
編集長「記憶あるか試す意味だと思っていた人?」と参加者へ問い、半数以上が挙手。「ではそれが以外の解釈だった人」でも少ないが手が上がる。

●謙信はどうして景虎が高耶に換生したことを、他の夜叉衆に伝えなかったのか
報連相ができない。
謙信も冥界でいろいろあったのかも。
そういうところが上杉軍なんです。

●今回のミラステでも、海外のファンの方が来られていた。海外へ向けた今後の展開はありうるか?
版権に関わる話なので、編集長が回答。

韓国語では途中まで出ていたが、途中で途切れている。
お話をいただくことはあった。
今、翻訳本は電子書籍での配信とセットでご提案いただくことが多い。
オファーを頂ければ、前向きに検討する。

先生「アニメは北米版でも出ていましたね。直江の口から英語で「KAGETORA(英語のイントネーション)」って言うのがすごかった」


その他のメッセージ。

一回全部忘れて読み直したい。10年後とかに、まずは本編から。また次の10年後には邂逅編から。

思い入れのある環結刊を、素晴らしい形で舞台にしていただいた。
演劇が好きなので、自分の作品を5作も舞台に乗せてもらえて、そして最後が最高傑作だと思えるものになったのが幸せ。

長い期間、書いてきて、書ききったと思えるまで書けて幸せだと思う。
(『炎の蜃気楼』は)永久機関になったので、死ぬまで読んでください。
そして、私の作家人生ももうしばらくはあると思うので、応援してください。
ありがとうございました。


以上。

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posted by アヤ at 23:25| レポート